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地中海文化圏編
  11: スアド・マシ「デブ」
PB:ずっと聞いていたいですね。ぼく、この人の声には完璧にやられちゃった。絶対会いたくない人です。会ったらしどろもどろになってなんにも言えなくなっちゃう(笑)。これは2作目の『デブ』っていうアルバムです……太ってるというわけではありません(笑)。3作目の『メスク・エリル』がちょうど出たばかりで、それもすっばらしいです。彼女はアルジェリア出身なんですけど、しばらくずっとフランスに住んでいて、一種の亡命状態のようですね。ヨーロッパ的なところ、アラブ的なところ、いろいろミックスされたシンガー・ソングライターですね。今のも冒頭はインドの打楽器タブラですね。とにかくこの人の音楽を聴いてると理性を失ってしまうんですよ。聞いてください!

◎ Souad Massi『デブ(ハート・ブロークンン)』(ライス・レコード)より

12: フェムーズ・T「タバコに身も心も」
北中:トゥールーズっていう南フランスのほうの大きな商業都市で活動しているグループで、ブラジル北東部の音楽と南フランスの音楽が混ざったようなことをやっています。これは3枚目のアルバムです。女性のうち、リタがブラジルの出身で、もう一人フワンソワが南フランス出身です。中世のフランスにはトルバドールと呼ばれる吟遊詩人がいたわけなんですが、その人たちが落ちぶれて出稼ぎに流れていった先のひとつがブラジルの北東部だったそうで、それがフランスに戻ってきて新しい感覚でやってる、という設定なのが今の曲だったりするわけですね。

関口:なるほど。そうした中世のフランスの音楽家たちとの間接的なつながりや影響からこういう音楽が出てきてるっていうこと自体が、とても面白いんじゃないかなと思います。

◎Femmouzes T.『トリポプラール』(オルター・ポップ)より

13: マリーザ「Meu Fado Meu」
北中:ポルトガルのファドという音楽は、かつてアマリア・ロドリゲスという大天才歌手がいたので、長いことほかの人が出てこれなかったのですが、彼女が90年代の後半に亡くなってから、ポルトガルの若い人たちがファドを再発見してたくさんの若手歌手が出てきてるんですね。その中でトップクラスのアーティストのひとりがマリーザなんですけども、彼女はたしかアフリカの…

PB:モザンビーク生まれですね。

北中:ふつうはポルトガル・ギターっていうマンドリンのような小型のギターを使うんですけど、この曲はストリングスのオーケストラをバックに歌ってます。アレンジとプロデュースがジャキス・モレレンバウムなんです。カエターノ・ヴェローゾのバンドのアレンジャーとしてよく知られていますけども、そういうポルトガル語圏のつながりを感じさせるアルバムに仕上がっています。

PB:このマリーザっていう人もすっごくかっこいいんだよね。ジャケットを見ると顔もそうなんですけど、背が高くて細くて、まるでモデルようなかっこよさで、そのうえあの声、ですからね。

関口:今日はピーターさんの女性観が分かりますね(笑)。

◎Mariza『Transparente』(Real World / EMI)より

 

ヨーロッパ編
  14: グラスハウス「Mos Lied」
北中:これはドイツのトリオで、メンバーのうちたしか女性がアフリカ系の人です。ドイツにもけっこうアフリカ系の移民がいるんですね。日本でもエピックから出たことのあるジョイ・デナラーニという人がそうですし、レゲエのバンドも出てきてます。これはかなりアメリカのR&B風の音楽ですけども、どうですか、こういうのは?

PB:ぼくも昔のソウルが命の人間だから、こういうの聞くと嬉しくなるね。70年代初頭のカーティス・メイフィールドとかルーサー・イングラムとかそういった名前が浮かんでくる音でした。

北中:ドイツはヒップホップもけっこうありますし、いままで聞いてきたような音楽とはルーツのあり方がどう違うのか? とか考え始めるとむずかしくなるので次に行きましょう(笑)。

◎Glashaus『Drei』(3P)より

 


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