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中米・南米編
  15: アルセニオ・ロドリゲス「ティーンエイジャーがチャングを踊る」
PB:いやあ〜〜、たまんないね、この音。アルセニオは伝説的な盲目のミュージシャンで、トレスという複弦3コースのギターの名手だった人ですね。恥ずかしいというべきか嬉しいというべきか、ぼくは『ブエナ・ビスタ・ソーシャル・クラブ』と、それからニューヨークのギタリスト、マーク・リボーが出した『偽キューバ人たち』というグループのレコードのおかげで興味を持って、キューバの音楽をいろいろ聴くようになったんです。偽キューバ人たちの2枚のアルバムのうち、最初のほうがアルセニオへのトリビュート作品でした。今かけたのはそこでも取り上げられていた曲で、この夏に世界初CD化された『キンデンボ』というアルバムからお送りしました。63年ぐらいのニューヨーク録音で、キューバ録音のものに比べて音もすごく良い、すばらしいアルバムです。

◎Arsenio Rodriguez『キンデンボ』(エピック・レコード)より

16: ガル・コスタ「性と光(Sexo E Luz)」
北中:ガル・コスタはご存じの方も多いと思いますが、60年代から活躍しているブラジルの大ベテランですね。カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルが起こしたトロピカーリアという運動を代表する歌手の一人です。これは今年サンパウロのインディーズから出したアルバムなんですね。今の曲で男性がデュエットしていたのにお気づきだったでしょうか? アフリカのコンゴ出身のフランス人で、ロクア・カンザという人です。このアルバムには曲もいくつか提供しています。

関口:こういうところにも越境性というか文化のフュージョンがあるんですね。

◎Gal Costa『オージェ(今日)』(ライス・レコード)より

17: ムンド・リブリS.A「アリス・ウィリアムズ」
関口:これはブラジルのペルナンブーコ州の音をまとめたコンピレーションですね?

北中:はい、ブラジルの北東部というとバイーア地方が有名ですが、南米大陸が一番東に出っ張っているあたりがペルナンブーコ州です。90年代からペルナンブーコではサンバとはちがう、ヒップホップとかクラブ系音楽の要素の入った新しいアーティストがいっぱい出てきました。いま聞いていただいたのは、そんなアーティストの活躍ぶりをまとめた『ペルナンブーコ新世代』というコンピレーション・アルバムからムンド・リブリS.Aというペルナンブーコを代表するロック・グループの曲でした。

PB:アフリカのミュージシャンでブラジルに興味を持つ人が最近目立ってますね。たとえば2、3年前にベニンのアンジェリック・キジョーがブラジル録音のアルバムを出したし、つい先日出たばかりのカメルーンのベーシスト、リチャード・ボナの新しいアルバムにブラジル録音の曲が入っていたり、あとセネガルのシェイク・ローっていう歌手のニュー・アルバムも半分くらいがブラジル録音なんですね。

◎V.A.『ペルナンブーコ新世代』(ライス・レコード)より

18: ジェリー・ゴンサーレス「ドナ・リー」
PB:ラジオのリスナーの方から教わったレコードで、ジェリー・ゴンザレスという、ニューヨークはブロンクス出身のプエルトリコ人です。トランペットとコンガが両方ともすっごくうまい人なんですけど、これは半分がラテン・ジャズ、半分がフラメンコのアルバム。今の曲のメロディーがわかった方いらっしゃるかな? チャーリー・パーカーの有名な「ドナ・リー」という曲です。

関口:これもじつにすばらしかった。いわゆるジャズの濃厚なイメージとはちょっと違って、音がスカスカに抜けているところがじつにかっこいいですね。

◎『Jerry Gonzalez y Los Piratas Del Flamenco』(Sunnyside)より

19: ホルヘ・ドレクスレル「Se Va, Se Va, Se Fue
北中:南米ウルグアイのホルヘ・ドレクスレルは、チェ・ゲバラの青春時代を描いた映画『モーターサイクル・ダイアリー』の主題歌を歌ってた人です。それでアカデミーの主題歌賞を取ってます。“ウルグアイのカエターノ・ヴェローゾ”なんて言われてるそうですが、今はスペインに住んでいて、この作品もスペインをはじめあちこちでレコーディングしています。レゲエもやってるし、いかにもシンガー・ソングライターらしい曲もあるし、何曲かにはブラジルのパンデイロ奏者のマルコス・スザーノが入っていたりとか、とても国際的なメンバーで作られているアルバムですね。ウルグアイといえば、「ラ・クンパルシータ」という世界で一番有名なタンゴの曲を作ったのがウルグアイの人で、今の曲もちょっとだけタンゴ風のアクセントが付いてました。

◎Jorge Drexler『Eco』(WEA Latina)より

 

アジア編
  20: デバシシ・バタチャーリア「Nata Raaj」
PB:この人はちょっと前にアメリカ人のミュージシャンと一緒にやってたアルバムで知ってはいたんですけど、このアルバムを聴いてまたぶっ飛びましたね。さっきフランスにバンジョーを持ち込んだのがジャマイカ人だという話がありましたけど、どうやらインドにスライド・ギターを持ち込んだのがハワイ人という説があるらしんです。このデバシシの家族は音楽一家で、家に置いてあったラップ・スティールのギターを子供のころから触っていのがきっかけになって、大人になってからインドのスティール・ギターの第一人者に師事して、10年ぐらい修行したそうです。いまは先生の称号が付いて、独り立ちして活動しているんですけど、自分ですっばらしいギターを作るんです! このアルバムでは3種類のギターを弾いていて、14弦のものと、22何弦のものと、それから4弦の小さいウクレレのようなギターも作ってるんですけど、全部スライドでやってて、弟と妹のタブラとタンブーラの3人で演奏しています。スライド・ギターで演奏するインドの古典音楽でした。

関口:こういう音楽は短い時間じゃなくてじっくりちゃんと聞きたいですね。

◎Debashish Bhattacharya『Calcutta Slide-Guitar Vol.3』(Riverboat)より


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