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オスマン帝国から現代へ
 

関口: 14 世紀から 20 世紀( 1914 年)まで続いたオスマン帝国は、ヨーロッパ、アジア、地中海に至るまで版図を拡げきました。注目すべきはオスマンが多民族帝国だったことではないでしょうか。

 

1: Mehter「 Jeddin Deden 」

向田邦子作の「阿修羅の如く」(NHKドラマ)のテーマとして広く知られた曲で、オスマンの軍隊が随行した軍楽隊(メフテルハーネ)による演奏です。この音楽隊はオスマンのヨーロッパ進出の際、一種の兵器として機能しました。ヨーロッパ諸国にはその影響で軍楽隊を持つようになった例もたくさんあります。

 

2: Music in the Ottoman Empire Series 4 「 Yorgo' nun Havasi 」

関口:これは 16 世紀のオスマンの音楽を現代に再現した演奏です。トルコの音楽はアラブ、ペルシャの音楽とイスラム文化を共通の基礎にした兄弟関係のようなものなんですね。アラブ、トルコ、ペルシャ語を話す人は合計で 15 億人もいます。これはJ -Pop を聞く人の 15 倍に相当するわけで、アラブ、トルコ歌謡がそれほど多くの人々に聞かれていることには驚くほかありません。トルコが独立したのは … ?

細川:建国の英雄ケマル・アタチュルクによって独立したのは 1923 年のことです。

関口:もう1つ重要なのは、トルコの文化的発展は都市の発展と密接に関わっているということです。イスタンブールの人口は 50 年代に 50 万人程度だったのが、現在は 1,000 万を越えています。世界でもっとも急激に拡大した都市がイスタンブールです。では 20 世紀の大衆音楽の展開について、細川さんにバトンタッチします。

 

20世紀の大衆音楽
 

3: ゼキ・ミュレン 「思い遂げられぬまま」

細川:トルコの大衆音楽は 70 年代から 80 年代にかけて大きく発展しました。そして 90 年代になると、生活の欧米化にともなって音楽も欧米化しました。今日はトルコのポピュラー音楽の4つのジャンルに注目したいと思います。近年はその境界はあいまいになってきてはいますが、まず サナート 。これは芸術古典歌謡とでもいえばいいでしょうか。宮廷音楽が大衆化したものです。 彼はトルコで最も尊敬される歌手で、正しいトルコ語で歌ったことも特筆すべき点です。女装したりして過激な面もありました。

サラーム:タルカンも女装したりするけど、トルコにはそういう傾向があるんですか?

細川:それはわかりませんが、ゼキの時代に「女装」するのは勇気のいることだったのは確かだと思います。

サラーム:マーク・アーモンドが尊敬する歌手としてゼキ・ミュレンの名を挙げていますね(注:マーク・アーモンドは 80 年代から活躍しているロック・シンガーで、中性的な耽美派ヴォーカルで人気を博した)

細川:もう1曲サナートからお聞きいただきましょう。

 

4: ムアッゼズ・アバジュ「 心奪われて」

細川:現役の歌手ではもっとも上手な人だと思います。トルコでは居酒屋などでかかると客がみんな歌い出します。

細川:次は ハルク 。これは民衆の音楽で、農民などの民謡などから発展したもので、サズ(三味線のような弦楽器)が多用されます。かつては吟遊詩人が人々の苦しみを歌ったりしました。政治風刺などの歌も多いですね。

 

5: サバハット・アクキラズ「 ベニ・ベニ」

関口:「ベニ、ベニ」とはどんな意味ですか?

細川:「私を、私を」という意味ですが、歌は「なぜ私はこのように苦しまねばならないの?」といった感じの内容ですね。

 


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