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「ソン」以前のキューバ音楽
 

1: 「エンカメ」(『アフロ・キューバ音楽のアンソロジー、古のアフロキューバのうた第1集』より)

< 形式:アバクア(アフロ・キューバンのフィールド録音)>
高橋(T):キューバにはスペインを中心としたヨーロッパからの移民と中央〜西アフリカから連れてこられた奴隷がいた訳です。基本的には、両者がキューバで出会っていろいろ面白い音楽を生みだしたんですね。このアバクアは中でも最もアフリカに近い音楽で、ナイジェリアのイボ族の男性秘密結社の音楽とされます。ハバナやマタンサス地方には今日でもこのイボ族系黒人文化が濃厚に残っているんですが、これはAreito/ Egremというレーベルからリリースされた『アフロキューバン音楽のアンソロジー』(Vol.1〜10)のなかのVol.1からの1曲です。このシリーズはほかに、ヨルバ、アララー、バントゥなどの部族やルンバなどアフリカの様々な地域からの移民の音楽をまとめていて興味深いです。

 

2: 「コントルベルシア・ウモリスティカ」コンフント・クカランベ

< 形式:コントルベルシア(プント・グアヒーロ)>
栗原( K ):このプント・グアヒーロというのは、白人系の音楽ですか?

T :そうですね。ここで使われている高音の弦楽器(ラウー)はアラブのウードがヨーロッパに伝わり、それがさらにキューバに流れてきたものです。また歌唱はデシマと呼ばれる韻を踏むスタイルで、今回お聞きいただくのは、2人の歌手がかけあいのように交互に歌で競い合い、相手をうち負かそうとする形式、コントルベルシアですね。

K :なかなか聴き応えがありますね。で、ここまではいわゆるアマチュアの演じる音楽ですね。

 

3: 「ロス・トレス・ゴルペス」チャランガ・ティピカ・デ・ルバルカーバ

< 形式:ダンサ >
T :これまでの庶民の音楽と違ってこれはサロンや劇場などで演奏される音楽です。

K :ダンサ、つまりダンス・ミュージックですよね?

T :はい。 16 〜 17 世紀にフランスで流行ったカントリー・ダンス(もともとはイギリスからきた)、つまり田舎のダンス音楽が新大陸にやってきたわけです。クラシック系〜劇場の為の職業作曲家イグナシオ・セルバンテスの作品です。

 

4: 「シンプソンの高台で」オルケスタ・フォルクロリカ・クバーナ

< 形式:ダンソーン >
T :これは今でもキューバはもとよりメキシコなどでも演奏されるダンソーンの第1号作品ともいうべきものです。ダンソーンというと通常フルートやストリングスが連想されますが、もともとはブラスバンドで演奏されていたんです。 1879 年にミゲル・ファイルデが発表した曲ですが、キューバは 59 年の革命後、地方文化の保護政策のような動きがあって、庶民文化を国がバックアップしたのですが、これなどもそういう中から生まれてきたバンドの録音です。

 

 


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