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「ソン」以前のキューバ音楽
 

5:「ポポポ」アリーナ・サンチェスとキューバ国立シンフォニー・オーケストラ

< 形式:サルスエラ(タンゴ・コンゴ)>
K :「サルスエラ」をネットで検索したら 17 世紀にスペインで生まれたオペレッタとありました。

T :そうですね。オペレッタ、つまり軽歌劇(ないし喜歌劇)とでもいえばよいでしょうか。庶民が楽しんだオペラという感じですね。

K :ボラ・デ・ニエベというピアノの弾き語りを思い出しますね。

T :そうですね。ちょうどアメリカのミンストレル・ショーのスタイルにも例えられそうです。白人が黒人のまねをしておどけてみせるショーですね。

 

6: 「マニセーロ」リタ・モンタネール

< 形式:プレゴーン(物売りの歌をポピュラー化)>
K :これは有名な「南京豆売り」ですね。

T :そうです。世界中でカバーされた曲ですが、これがその最初の録音で、女優でもあったリタ・モンタネールによって 28 〜 29 年に録音されています。

K :いかにも劇場出身のシンガーの雰囲気が感じられます。

 

7: 「ラ・チャンベローナ」ラモーン・エスピグル&ローラ・マヨルガ

< 形式:グアラーチャの原型?>
K :グアラーチャというと一般にはソンが早くなった感じの、つんのめったスタイルを思い浮かべますが、これは違いますね? はじめ少し歌があってそのあとはおしゃべりで……

T :このグァラーチャは先ほども出てきたサルスエラやブッフォなど劇場の幕間の音楽(ないし語り)です。重要なのは内容が風刺やペーソスを含んでいる点です。当然コミカルな味も含んでいただろうから、きっと最初はこの録音のように、かけあい漫才のような要素も含んでいたのではないかと思います。いわゆるサルサなどでいうグァラーチャとはずいぶん距離がありますね。

 

8: 「ネンゴン・パラ・ティ」ラ・ファミリア・バレーラ・ミランダ

< 形式:ネンゴン >
K :これはソンの成立に重要な役割を果たしたと言われているキューバ東部の田舎の音楽だということですね? これも言葉は聞き覚えがあるけど、どんな音楽だったっけ?と思ってネットで検索したら 10 件ほどしかヒットしなくて、しかも半分くらいが高橋さんの主催されるアオラ・コーポレーションのHPでした(笑)。

T :これは都市周辺の田舎の白人系音楽で、ソンの発生の元になったという説もあります。田舎を訪れた客をファミリーが音楽でもてなすんですね。この演奏も家族グルプのラ・ファミリア・バレーラ・ミランダによるものです。呟くような、歌うような感じが延々と続きます。

K :この弦楽器のフレーズやリズムの感じ、これにクラーベス(ソンの基本リズムを刻む拍子木)が加わったらほとんどソンですよね。

 

9: 「エル・グアラレイ・デ・パストーラ」グルーポ・チャングイ・デ・パストーラ

< 形式:チャングイ >
K :「チャングイ」というのはソンのルーツ話で必ず聞く言葉ですね。

T :これは前の音楽の黒人版といえるものです。この曲はのちにロス・バン・バンが大ヒットさせました。ひとつ前にお聞きいただいたグループ(ファミリー)の曲もベニー・モレーとかがやってますし、のちの 50 〜 80 年代のスターもかなりこの時期の楽曲を取り上げています。

K :チャングイといえばアルセニオ・ロドリゲスも先ほど紹介されたレコード(昨年日本でもCD化された『キンデンボ』のこと)で「ティーンエイジャーたちがチャングイを踊る」っていう曲をやってますね。

T :ここではマリンブラという座って演奏する大きな箱に太い金属片を付けた大型親指ピアノや、ボティーハという壺に孔を空けて吹く楽器も登場します。いずれもベ−スですね。

K :トレスの弾き方なんかもまるでソンですよね。

 

 


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