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今年のコンダ・ロータ出演アーティストから
 

10: 「 AB-L Hayat 」メルジャン・デデ

11: 「 AB-L La' L 」メルジャン・デデ

S:次はトルコのメルジャン・デデ。イスタンブールのダブルムーンというレーベルの看板アーティストで、大勢いるトルコのネイ奏者のなかでも最も注目されている若手です。初の来日となる今回はDJとして登場したり、シークレット・トライブというグループででも演奏しますね。バンドのときは当然彼はネイを吹くわけですよね。

N:はい。ネイと、ダルブッカ、DJもやります。

S:ライヴの映像を見ましたけど、旋回舞踊のダンサーも来るんですか?

N:はい。今回は2名来日します。

S:そうすると、今回のステージで旋回舞踊も見られるということですね。

N:はい。DJとして出演する1日のライヴには、 Miho さんというベリー・ダンサーが加わります。バンドのほうは着席の公演なので、本人はいろいろ考えているようです。

S: Miho さんはとても有名なダンサーですよね。トルコですからベリー・ダンサーが一緒に参加するという必然性があるわけです。ぜひ一度は直接メルジャン・デデのライヴを体験していただきたいと思います。メルジャン・デデは2曲を聴いていただきましたが、2曲目が入っているのは 2004 年のアルバムですね。最初の曲は 2006 年のアルバムからでした。

N: 1 曲目はファティ・アキンが監督した『クロッシング・ザ・ブリッジ』という、イスタンブールの現在の音楽シーンをテーマにしたドキュメンタリー映画のサントラ盤です。来年の春に日本でも公開されます。その中でデデの音楽が使われていて、非常に印象的なダルブッカのサウンドが響いています。


12: 「アルジェリア」グナワ・ディフュージョン

S:さていよいよ最後にご紹介するのがグナワ・ディフュージョンです。これはどういうグループでしょうか?

N: 92 年にフランスのグルノーブルで結成されまして、リーダーはアマジーク・ヤシーヌという人です。アルジェリアを代表する大作家だったお父さんのカテブ・ヤシーヌの遺志を継いで、お父さんが文学で表現していたことを、音楽で表現をしている、非常に社会性の強いアーティストです。

S:もともとグナワっていうのは、モロッコあたりを中心に、アラブの文化とベルベルの文化と、それからアフリカのブラックの文化などが融合した、そういう音楽ですよね。グナワ・ディフュージョンていうのは、もともとフランスが本拠地ですか?

N:そうですね。

S:遠きフランスにあって、自分の祖国のルーツを現代的に表現するということなんでしょうね。

N:サウンドだけではなく、歌の内容も、祖国の現在の状況や、フランスにいる移民たちの状況を批判的に歌っているものが多いですね。

S:だんだんトランスしていくようなスタイルの音楽で興奮させられます。

 

13: 「ペテン師の町」 グナワ・ディフュージョン

S:グナワ・ディフュージョンの2曲目は歌詞が興味深いので、みなさんにお配りしてあります。

N:この曲は、今のアメリカの中東における政策やイスラエルとパレスチナの問題がテーマになってまして、パレスチナの人たちを開放せよ、占領地を開放せよ、と直接糾弾している歌詞になっています。

S:これはかなり強烈ですねえ。原詞はフランス語ですか?

N:はい、この曲はフランス語です。

S:かなり政治的な意識を持ってグナワ・ディフュージョンは活動していることがわかるんですけども、アラブにはこういう問題を語ることにこそ表現する意味がある、と考えている若者が多いような気がします。最近訊ねたときに知り合いになったレバノン人たちが、空爆後のレバノンの惨状をメールで伝えてくれるんですが、ああいうひどいことが平然とまかり通っていることには強い憤りを覚えます。グナワ・ディフュージョンの表現は、これでもまだおとなしすぎるぐらいだと僕は思います。

N:彼らの公演は2回あります。デュオウードとステージを分ける1日目( 10 月3日)は、「グナワ・ミクロスコピック=グナワの顕微鏡」と名付けまして、1曲目でも聞けたゲンブリという楽器と、シャカシャカと鳴らす鉄製のカスタネット、それとパーカッション類を中心としたアコースティックなサウンドの公演になります。もうひとつ、 10 月6日の方は、マグレブ・ロック、レゲエ、ラップ、ジャズなどを混ぜ合わせた、エレクトロニックでロック的な演奏をお聴かせします。

S:両方見に行っても損をさせませんよ、逆に言うと両方来てくれ、ということですね(笑)。

N:私たちはイスラムの音楽の専門家ではなかったんですけども、この企画を立てる過程で関口さんを始めいろいろな方たちから多くのことを学びました。まず我々が得ている情報は氷山の一角にもならないほどとっても限られたごく一部情報でしかないということ。ですからやはり本物を見ていただきたいんです。カンバセーションは「アイデンティティとボーダレス」というポリシーを掲げているんですが、これからもこういった社会的にも意味のあるコンサートを作っていきたいと思っています

S:『ローカル・ミュージック』という本を書かれた早稲田大学の昼間賢さんが歌詞を翻訳なさった、グナワ・ディフュージョンのCDが新しく9月 24 日に発売されますので、ぜひ歌詞を読みながら聞いていただきたいと思います。



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